Monday, January 19, 2009

裁判員:拭えないなぁ

先週、裁判員制度導入の不明点について少し書いた。その中で、暴力団の抗争事件とか、傍聴席に強面の暴力団構成員がずらりと並んでたらどうすんのよ、みたいなことを書いてたんだけど、今日の朝日新聞に「裁判員、暴力団員も選ばれる?排除規定なし」っていう記事が出た。記事では、「暴力団員が裁判員に選ばれたらどうなんよ」っていう主題で書かれていて興味深い。裁判員法では、議員、警察職員、知事・市町村長、自衛官(なんで自衛隊はダメなんだろう…)と、義務教育を終えていないバカと実刑履歴の前科モノ以外は、選挙権を持つ人であれば誰でもなれる。だから暴力団員もなれちゃうけど、どうすんの?っていう話。

これに対して当の方々の反応はさまざまで、組員には裁判員の招聘があっても「無視しろと指示する」という親分さんもいれば、「被告を権力から擁護したくなる習性がある」と前向きな方もいらっしゃる。それに対して裁判所側は、裁判員は裁判長による面接で決めるし不選任権限があるので暴力団員を選ばないようにスクリーニングできるって言ってる。警察のリストを元に構成員そのものは弾けても、その影響下にあるかもしれない状態(簡単に言えば恐喝や買収ですな)を、どうやって排除するのかさっぱりわからないじゃないですか。

僕の心配は、裁判員になって、いざ担当するという事件の被告が暴力団の人だった場合に、判決後におそらく起こるだろう「お礼参り」の恐怖抜きに、真っ当な審判が出来るのか、というものだった。それに対して、裁判員制度のFAQの中に近い設問があり、「裁判員になったことで,事件関係者から危害を加えられることはありませんか」に対して、最高裁判所は「これまで裁判官や裁判所職員が事件関係者から危害を加えられたというような事件はほとんどおきていません」と言うが、それはアンタたちに手を出せばヤバイという不文律が存在しているからであって、一般人との話とは違うでしょという感じ。一応「事件関係者から危害を加えられるおそれのある例外的な事件については,裁判官のみで審理することになっています。ですから,どうぞご安心ください」としているけど、安心できません。さらに「裁判所は,安心して審理に参加していただくためにも,裁判員の安全確保に万全の配慮をします。例えば、裁判員の名前や住所は公にされないことになっていますが、万一にも事件関係者に知られることがないように、裁判員の個人情報については厳重に管理します」ってのも、今さら言うまでもないあたりまえのことだし、「裁判員が法廷や評議室へ移動する際に、事件関係者等と接触することがないよう、部屋の配置等を工夫しています」ってのも、そもそも、裁判所には傍聴人すべての動きを追えるような機能は持っていないし、裁判所の中の警備を増強したって状況は何も変わらないわけで、全然安心できません。さらに、裁判員は法廷内で顔を見せずに裁判をすることはできない、とハッキリ定められている中では、僕の心配はまったく消えないなぁ…。

あと、裁判員制度のFAQに新たな項目が追加されてて、「事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある」場合は辞退できるようです。さらに、「上司や同僚,さらには家族や親しい人に話すことも許されないのですか」については、「ホームページ等に掲載するような場合など,裁判員候補者になったことを不特定多数の人が知ることができるような状態にすること」はダメだけど、「家族や親しい人に話すことは禁止されていませんし,上司に裁判員等になったことを話して,休暇を申請したり,同僚の理解を求めることは問題ありません」とのことなので、信頼関係が崩れるという事態は避けられそうです。でも、裁判が終わったら公表してもいいってことなんだけど、一般人に守秘義務とかがどこまで守られるかは疑問だな。

No comments:

Post a Comment