Friday, September 26, 2003

shooting direction

撮影はリズムが重要だ。そのリズムは、OK!、次もカッコよく、もっと、という意識と、実際の時間配分の両面から生まれる。感覚のレベルが揃ったチームで撮影すると集中とプレッシャーが快感に思うほどだ。だが、押さえどころを明快にして臨まないと、ああでもないこうでもないの泥沼に嵌まってしまう。そこに無責任にさえ思えるような曖昧な好き嫌いを言うクライアントが立ち会うような状態だと、さらにその沼は深くなる。つまり絵作りの指針が撮影の場でぶれ始めるわけだ。撮影現場ではその時こそアートディレクターの真価が問われる。

どうしたいか。それにはどうするべきか。何が不足で何が不要かを、その都度スタッフ全員に明確にできなければ撮影現場に立ち会っている意味はない。現場は船頭のいない船のように揺れるだけで前に進まない。

撮影現場を仕切るのはカメラマンだと僕は考えている。それは、映画監督と撮影監督の役割りの違いのように絵は任すというスタンスで、僕が自分で撮れる以上の絵をカメラとレンズという筆を使って描いて見せろということだ。しかし、撮影は遊びではない。仕事なのだ。そこで良いものを作り評価を得るには明快なイメージを与える必要がある。それには多くの経験も必要だ。僕は現場では悩まないタイプ。撮影日までにアタマの準備は終え、打ち合わせで多くの方向をカメラマンと話し合う。それによって出来上がるイメージを絞り込み、現場に入る。後は暗黙知の表出作業。だが、任せっきりにはしない。必ずカメラの横に立ち、組み立てられていくライティングを観察し、アイデアも出す。それが出来るようになるために僕は数年間カメラマンのスタジオに居た。そうしてこそ欲しいイメージが作れるようになった。

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